技術コラム

メカニカルシールの許容漏れ量と異常の見分け方

MECHANICAL SEAL LEAK GUIDE

漏れ量だけで、正常・異常を決めない

メカニカルシールの漏れは、シール形式、流体、圧力、温度、回転数、運転状態、安全・環境条件で判断が変わります。単一の流量値ではなく、メーカー基準と設備ごとの通常状態、漏れ方の変化を照合します。

点検のため分解した使用後のメカニカルシール部品
使用後の現物状態は、漏れ方と運転記録を合わせて確認します。
先に結論

液体で潤滑する一般的な接触式では、摺動面の薄い液膜が作動に関わります。ただし、目に見える滴下や飛散を一律に「正常」とは判断できません。型式別のメーカー基準、設備管理基準、通常運転時からの変化を優先してください。

危険な流体や急な漏れは、量を測る前に安全確保

有毒・可燃・腐食性の流体、高温・高圧の設備、急増する漏れ、飛散がある場合は近づいたり触れたりせず、設備管理者の手順に従って停止・隔離・通報してください。

許容漏れ量は、設備ごとの基準で決めます

メカニカルシールは動的な軸封装置で、漏れの見え方は液体・蒸気・ミスト・固形物などで異なります。シングルシールかデュアルシールか、漏れを回収する構成か、流体が大気へ出ても安全かによっても、許容できる状態は変わります。

メーカー基準

シール型式、配置、取扱説明書、仕様書、試験・点検基準に示された判定方法を確認します。

設備の基準状態

初期運転と安定運転の漏れ方、圧力、温度、流量、振動、起動停止の記録と比較します。

安全・環境条件

流体の危険性、排出・回収方法、作業区域、法令・社内基準から、許容できる状態を決めます。

共通の数値を当てはめない理由

漏れ量は設計、製造・取付状態、運転条件、機器の振れや振動などで変わります。特定の流量値を、すべてのメカニカルシールに共通する許容値として使用しません。

漏れを判断するときに確認する5項目

安全な範囲で、同じ運転条件を基準に変化を記録します。設備の停止や点検は、現場の正式な手順を優先します。

  1. CHECK 01どこから

    摺動面側、軸・スリーブ側、合わせ面、配管・ドレン周辺を分けます。

  2. CHECK 02いつから

    停止中、起動直後、安定運転中、停止直後のどこで発生するかを記録します。

  3. CHECK 03どう変化

    滴下、にじみ、蒸気、ミストの状態と、時間あたりの増減を比較します。

  4. CHECK 04他の症状

    発熱、異音、振動、圧力・流量の変化、頻繁な起動停止を確認します。

  5. CHECK 05どの流体

    名称、濃度、温度、危険性、固形分、結晶化や固着の有無を確認します。

記録して基準と比較

メーカー・設備基準内で、通常状態から変化がない場合も、点検履歴として残します。

早めに点検を相談

目に見える滴下、起動停止時の漏れ、以前より増えた漏れは、量だけで正常と決めず確認します。

設備手順で停止・隔離

急増、飛散、危険流体、発熱・異音・振動を伴う場合は、安全手順に従って対応します。

漏れ箇所を分けると、点検範囲を絞れます

軸付近に液体が見えても、すべてが摺動面からの漏れとは限りません。清掃・停止・分解を伴う確認は、設備の安全手順に従って行います。

摺動面付近

回転環と固定環の接触状態、液膜、発熱、摩耗、欠け、付着物などを候補として確認します。

二次シール・軸側

Oリング、パッキン、ベローズ、軸・スリーブ面、取付傷、材質適合を確認します。

ポンプ・配管側

ガスケット、合わせ面、ドレン、補助配管、フラッシング、軸受や芯出しまで範囲を広げます。

潤滑・冷却不足

充液、エア抜き、ドライ運転、フラッシングや補助流路の状態を確認します。

運転条件の変化

圧力、温度、回転数、流量、起動停止、流体性状の変更履歴を確認します。

振動・軸振れ

軸受、芯出し、軸・スリーブ、配管荷重、羽根車など機器側も確認します。

取付状態

設定寸法、向き、締結、摺動面・二次シールの傷や異物を確認します。

材質・型式の適合

流体、温度、圧力、固形分、腐食性と、摺動材・二次シール材を照合します。

部品の損傷・摩耗

分解後に摺動面、スプリング、金属部品、二次シールを確認し、再使用可否を判断します。

漏れ量を記録するときの条件

現場の安全手順と測定方法が定められている場合に限り、運転状態と時間をそろえて記録します。回収液、蒸気、ミスト、ドレンへ流れた量を混同せず、測定位置と単位を残します。

  • 停止中・起動直後・安定運転中・停止直後の区分
  • 測定した時刻と継続時間、滴下・にじみ・蒸気・ミストの状態
  • 圧力、温度、回転数、流量、バルブ・補助流路の状態
  • 異音、振動、発熱、能力低下など同時に起きた変化
  • 直前の整備、部品交換、流体・運転条件の変更
危険流体は自己判断で採取しない

有毒・可燃・腐食性流体や高温・高圧設備では、漏れ量の採取や容器への回収自体が危険です。設備管理者の方法に従ってください。

漏れが増えたら、シール単体とポンプ側を分けて確認

取り外して点検した使用済みメカニカルシール
取り外した現物は、漏れ方と運転条件を照合して修理・交換範囲を判断します。

メカニカルシール単体では、摺動面のラッピング、二次シールなどの消耗品交換、損傷部品の製作・交換を検討します。漏れの再発、異音、振動、発熱、能力低下を伴う場合は、軸受、軸、芯出し、羽根車、配管、運転条件まで点検範囲を広げます。

メカニカルシール修理の対応範囲を見る / ポンプ・回転機器整備の確認項目を見る

メカニカルシールの漏れに関するよくある疑問

目に見える漏れなら、少量でも正常ですか?

量だけでは判断できません。型式別の基準、漏れの場所、通常状態からの変化、流体の危険性、発熱・異音・振動の有無を確認します。

漏れが見えなければ、漏れはゼロですか?

蒸発やミスト化、回収・排出経路によって見えない場合があります。目視だけでゼロとは判断せず、メーカー・設備基準に沿って確認します。

漏れが増えたら、すぐ新品交換ですか?

シール単体の損傷、二次シール、取付状態、運転条件、ポンプ側を切り分けます。現物によっては修理・再生が可能な場合があります。

相談時に何を用意すればよいですか?

メーカー・型式、機器名、銘板・漏れ箇所の写真、流体、圧力、温度、回転数、漏れ始めた時期、量の変化、異音・振動の有無があると確認が進みます。

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